ねこえびすの名著決定版

野良ネコ音吉の勝手に決定「名著」ブログ

内堀弘『ボン書店の幻 モダニズム出版社の光と影』

内堀弘著『ボン書店の幻 モダニズム出版社の光と影』(ちくま文庫)。ここ数年で、音吉にとってはいちばん読み応えがあり、感動した本です。 鳥羽茂(とば・いかし)という出版人をご存知でしょうか。1930年代の数年間、その後の詩壇を率いる詩人たちを輩出…

シモーヌ・ド・ボヴォワール『おだやかな死』

今回の本は、シモーヌ・ド・ボヴォワール(Simone de Beauvoir, 1908 - 1986)の『おだやかな死("Une mort très douce", 1964)』です。 ボヴォワールのことは改めて説明するまでもないと思いますが、念のために簡単に。彼女は20世紀を代表する哲学者にして…

福岡カルメル会編訳『沈黙を聴く ー 現代の神秘家モーリス・ズンデルの人と霊性』

宗教関係の本は馴染みが薄いかもしれませんが、少々お付き合いください。モーリス・ズンデル神父(1897 - 1975)の『沈黙を聴く 現代の神秘家モーリス・ズンデルの人と霊性』(女子パウロ会)です。 ズンデル神父は、前世紀の初頭にあって、現代のカトリック…

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア『私には夢がある』演説全文

www.youtube.com 【以下はキング牧師による1963年8月28日の演説全文(後段に原文もあります)です】 今日、私は米国史の中で、自由を求める最も偉大なデモとして歴史に残ることになるこの集会に、皆さんと共に参加できることを嬉しく思います。 100年前、あ…

宮田律『オリエント世界はなぜ崩壊したか ー 異形化する「イスラム」と忘れられた「共存」の叡智』

6月4日 お詫びと訂正: 去る6月2日より、タイトル欄の著者名を誤ったまま掲載を続けておりました。著者、宮田さんのお名前は【誤】修 → 【正】律(おさむ)です。著者の宮田さんに無礼をはたらきましたこと、この場をお借りしまして衷心よりお詫び申し上げ…

佐野洋子『私の猫たち許してほしい』

「ドイツにいたとき、台所から隣りの家の小さな窓が見えた。その窓に、黒い洋服を着た老婆が、身動きもせず横を向いて座っていた。 小さな窓は清潔なレースのカーテンで囲まれ、庭にはもやのかかったような枯草があった。毎日食事が終わると、私は隣りの窓を…

カリール・ジブラン『預言者』

カリール・ジブラン(ハリール・ジブラーン)という詩人をご存知でしょうか。 ジブランは1883年にレバノンで生まれ、1931年にニューヨークで没した詩人にして画家・彫刻家で、詩人としては「20世紀のウイリアム・ブレイク」と称されるほど高い評価を受けてい…

向井透史『早稲田古本屋日録』

こんにちは! 東京の片隅で密かに暮らす野良ネコ音吉です。実は音楽のブログを書いているんですが、Facebookで「ブックカバーチャレンジ」という、一週間限定で愛読書のカバーと記事をアップする(そして次の人にバトンタッチする)という面白い企画が回って…